環境への取組み
気候変動に対する認識
資産運用会社では、気候変動問題は自然環境と社会構造に劇的な変化をもたらし、資産運用会社の経営とビジネス全体に重大な影響を与える重要課題であると認識しています。この背景には2015年に採択された「パリ協定」などの温室効果ガス排出規制の世界的な動向や、「IPCC報告書」などで示される科学的事実としての気候変動の進行があります。パリ協定においては世界の平均気温の上昇を産業革命以前と比べて2度未満、努力目標として1.5度未満に抑制することが目標とされたものの、これにより今後、温室効果ガス排出を削減する国際的枠組みや国内規制が強化されることが予想されます。また、資産運用会社は気候変動を科学的事実として認識し、激甚化する台風被害、頻発する熱波、世界的な海面上昇など、気候変動が引き起こす自然災害被害の拡大への対策は必要不可欠なものであるという立場を取ります。
資産運用会社では2017年3月にサステナビリティ方針を策定し、以来サステナビリティ向上への取り組みを通じた中長期的な投資主価値の向上に努めてきました。2021年3月には本投資法人に関するマテリアリティを策定しましたが、そのなかにも「気候変動・レジリエンスへの対応」を含めるなど重要な課題であると認識しています。
(注)国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による2018年公表のIPCC 1.5度特別報告書
TCFD提言への賛同表明
資産運用会社では、気候変動は金融の安定を脅かす重大なリスクであると認識しています。また、昨今では、気候変動による財務的影響に関する情報開示が投資家を中心に多くのステークホルダーから求められています。
このような認識のもと、2022年3月、資産運用会社は、金融安定理事会(FSB)により設置されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による、2017年6月公表の提言について賛同しました。
TCFD提言に沿って気候変動がもたらすリスク・機会について識別・評価・管理を行い、事業のレジリエンスを高めることは、本投資法人の持続可能かつ安定的な収益を長期的に確保するために必要不可欠な事項であり、今後、これらに関する情報開示を拡充していきます。
気候変動に関するガバナンス
資産運用会社は、気候変動に関するリスクと機会に対応するための組織のガバナンス体制を以下の通り構築し、気候変動に関する事項を推進・監督しています。
(気候変動対応に係る最高責任者)
取締役社長
(気候変動対応に係る執行責任者)
経営管理部長、運用戦略部長及び投資運用部長
(サステナビリティ推進会議において討議及び報告する事項)
・気候変動による影響の識別・評価
・リスクと機会の管理
・適応と緩和に係る取り組みの進捗状況
・指標と目標の設定等の気候変動対応
戦略
資産運用会社では気候関連リスク・機会を本投資法人の不動産運用業に考慮するため、本投資法人のポートフォリオを対象にシナリオ分析を行いました。シナリオ分析の概要は以下の通りです。資産運用会社のリスク・機会の識別・評価に係るプロセスは「リスク管理」の項目で紹介しています。
参照したシナリオ
※ IEA:国際エネルギー機関、IPCC:気候変動政府間パネル
特定した気候関連リスク・機会と財務的影響の評価
※時間軸:中期(~2030年)、長期(~2050年)
資産運用会社は気候変動について、中長期的なリスクを有するものの、一方で新たなビジネスチャンスをもたらす機会とも捉えられるものと考えています。
シナリオ分析を受け、今後も本投資法人の資産運用におけるレジリエンスの向上に努めます。
なお、気候変動への取組み事例は以下をご参照ください。
環境への取組み > 保有物件における環境課題への取組み > 環境への取組み事例
リスク管理
資産運用会社では、気候関連リスクの低減に向けて以下の枠組みで識別・評価・管理しています。
組織が気候関連リスクを識別・評価するプロセス
資産運用会社では「サステナビリティ推進会議」において、気候変動による影響の識別・評価の結果を定期的に報告しています。
環境への取組み >気候変動への対応 > 気候変動に関するガバナンス
組織が気候関連リスクを管理するプロセス
気候関連リスクの管理は全社的リスク管理プログラムに統合されており、適切に管理されています。
全社的リスク管理プログラムの概要については、以下をご覧ください。
指標と目標
資産運用会社では、気候関連リスクの影響を抑え、機会を実現するため、指標と目標を設けてその取組みをモニタリングしています。現在資産運用会社が気候変動問題と関連して設定している目標及びその実績は以下で紹介しています。
環境への取組み > 気候変動への対応 > 環境パフォーマンス目標